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Q:鍼って痛くないですか?
A:基本的には痛くありません。注射針の尖端は皮膚を切るように鋭く出来ていますが、 鍼灸用の鍼は皮膚・筋肉の組織の間を分け入って進むように加工されています。それゆえに注射針のような痛みはありません。 鍼を打つ場所や個々人の感受性の違いもあり、まったく無痛というわけには参りませんが、いつ打たれたのか気づかない人も少なくありません。※最近は鍉鍼(ていしん)という刺さらない鍼での治療が主になってきています。
Q:お灸は熱いですか?
A:お灸は 熱刺激 によって ツボ に働きかける治療法、あるいは 血の鬱滞を解消する ための治療法ですから、それなりに熱さは感じますが、チカッと熱い程度です。
Q:◯◯病は治りますか?
A:「鍼灸治療で何々病は治りますか?何々症候群に効果はありますか?」
よく訊かれるご質問です。糖尿病や自律神経失調症、うつ・パニック障害、 不妊症・不育症、繊維筋痛症、慢性疲労症候群、脳脊髄液減少症、その他耳慣れない病名を挙げられることもあります。しかし、心身の状態を統一的に捉え病に打ち克つ自然治癒力を高めることを目的とする東洋医学では西洋医学の病名が臨床に直接結びつくわけではないのです
勿論、西洋医学的病名や症候名を参考には致します。 解剖学や神経学などの基礎医学理論を踏まえて治療にも当たります。しかし、「〇〇病だからこの治療法で」「△△症にはこのツボを使う」など、 病名や症状によって治療法が導き出されるわけではないのです。
何故なら、患者さんの心身は一人ひとり違うからです。例えば、元々の体質や体力、精神状態(情緒的傾向)、病の深さや勢い、 個々の生活環境などひとりとして同じ人はいません。ですから東洋医学では、同じ西洋医学的病名でも人により治療法は変わってくるのが極自然なことなのです。東洋医学では、患主お一人お一人の総合的な状態と変化に応じて治療法は決定するのです。
だからこそ、西洋医学的な病名がついていてもいなくても治療に当たることが出来るとも言えます。病名・症状そのものを相手にせず、その病に打ち克つ元気を引き出せるよう心身全体を整えていく事が東洋医学の発想であり骨子なのです。逆に言えば西洋医学に基づいて治療するのなら、そういう治療法は他に沢山あるのですから、何も鍼灸治療を選択する必要もありませんね。
外科的手術が必要な緊急時や器質的疾患、強い感染症など西洋医学でなければ対処出来ない疾患を除いて、 様々な機能的な慢性疾患・慢性症状、 西洋医学的に原因の分からない不定愁訴には、 心身を根本から整え変えていこうとする東洋医学だからこそ提供出来る治療があるのです。そして治るか否か、その予後を左右する最も重要な条件として ご本人の治療に臨む主体性の有無の問題があります。
先天性・遺伝性の病など一部の例外を除き、 多くの疾患・病の原因はそれまでのご本人の生活習慣の中にあります。 当然の道理としてその問題点を改めずに、治療を受けるだけで根本治癒が望める筈はありません。
不慮の事故などの後遺症であっても、それをどう受け止めているか、そしてそれにどう主体的に向き合っているか、その如何によって予後は大きく変わってゆきます。 治療への依存的姿勢から卒業し、治療を通してお身体への理解を深め、 医療指導を素直に聴いて実践し、改めるべきを改める、その養生の土台の上に明日の健康があるのです。